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「図書館戦争THE LAST MISSION」

 二度目の鑑賞も終えたということで、今更だが映画の感想を書こうと思う。公開からすでに一か月近く経ち、ブログやTwitterでみなさんの感想を読み全力で共感していた私だが、自分の感想もきちんと書いておきたくなった。ネタバレを多く含むので注意。でも図書館戦争を知らない人が読んで興味をもってくれるのなら嬉しい。

 「図書館戦争THE LAST MISSION」は有川浩さん原作、図書館戦争シリーズの映画化第二段である。映画の一作目「図書館戦争LIBRARY WARS」で原作ファン納得の映像化を実現したキャスト、スタッフが再集結して作られた今作、本人たちが合言葉にしていたらしい「前作を超える」は現実のものとなっていたように思う。

ここからはできるだけ順番通りに書くつもりだが、前後している可能性もあるのでご了承を。またセリフも正確ではない可能性あり。

 

オープニング

まず、オープニング。図書館戦争の世界に引き込むつくりがとても上手い。図書館戦争の舞台はメディア良化法という表現が規制される法律が制定された「正化」という架空の時代の日本であり、原作を知らない人には少し難しい設定だ。しかし、映画のオープニングで映る「TBS」の文字がメディア良化委員会が制作した映像へと自然に変わる(言葉で上手く説明できないが、ビデオの映像のようなつくりになっていた)ことで、検閲のある「正化」の日本に一気に引き込まれる。この映像では子供たちへ向けた推薦図書の紹介や新しく規制された番組について話されている。そして検閲のシーンが最初にくることで、表現の自由が規制された世界とはどのような世界なのか、映画だけを観る人にもわかりやすく伝えていた。

キーパーソン手塚慧の登場シーン

全編を通して感じたのが、画面いっぱいに手や足を映す場面がいくつかあり、それによってより緊張感が伝わる映像になっていたことだ。特に、手塚慧が机を叩いている手を映したり、講演に向かう足を映したあとに、やっと顔を映すというやり方は今回のキーパーソンである手塚慧の登場シーンとして最高のものだった。

俊足、笠原

今回の映画で嬉しかったのは郁が走るシーンがたくさんあったことだ。これはほかの方の感想でも多く見かけた。原作では短距離なら堂上よりも早く足に絶対的な信頼がある郁だが、前作では走るシーンがほとんどなかった。しかし、今回は最初からとにかく走る。検閲対象図書となった「荒地のカナ」を抱えて走る郁が、すぐ横で銃弾戦が行われているにも関わらず笑顔だったのは最高に笠原郁らしさが出ていた。

郁がたまらなくかわいい

そしてまた郁の話になるのだが、今作は前作以上に郁がかわいくてしかたがない。小牧教官の言葉を借りれば、抱きしめたくなるくらいかわいい。査問後に堂上に何を言ったのか問い詰められて泣いてしまうシーンは、予告で観たとき以上にかわいくてたまらないと思ったし、レストランに迎えに来てくれた堂上に「探してくれたんですか?」と嬉しそうに聞く郁の笑顔と言ったら...!堂上の「......でかいな。」には笑ったが。

カミツレのアロマオイル

茨城へ向かう車内で郁が堂上にカミツレのアロマオイルを渡すシーン。このシーンがあったのは本当に嬉しかった。堂上教官が文庫本を読む姿もかっこいい。(上に書いたことだが、ここでもページをめくる堂上の手が画面いっぱいに映る。この撮り方が本当に好きだと思った。)が、勇気を出して渡した郁に「必要ない。」と堂上教官。最初は、ちょっと冷たすぎないか!?と思ったが、二度目に観たときは岡田くんが演じる堂上教官らしいと感じた。本人も原作とは少し変えていると言っているように原作の堂上と岡田くんの堂上は少し違うのだが、私はこのシーンでそれを感じた。これはもしかしたら私だけかもしれないが。

検閲抗争、アクションシーン

水戸図書館に到着してからはとにかくアクションがすごい。とにかくすごい、という馬鹿みたいな感想しか出てこないのが悔しいのだが、本当にすごい。前作のアクションシーンを観たときにここまでやるのかと衝撃を受けたのだが、今作はそれ以上だった。一度目はとにかく画面に釘付けになって見入っていたが、二度目は楽しんで観ることができた。仲間と合流できなかった堂上と郁が逆に敵の中に混ざって頭を使い(もちろん体も使い)ながら戦っていくシーンがドキドキする。

小牧教官と手塚

そして小牧と手塚。小牧ファンとしては、今回も小牧のひらがなっぽいしゃべりが聞けて大満足である。パンフレットやTwitterでも話題になっていた「やるぅ」はもちろん、前作に続き「どーじょー!」「りょーかい」も健在だった。手塚がスナイパーとして地上戦で活躍する場面は原作にはないので予想外だったが、少しずつ後退するしかない図書隊の中で唯一相手にダメージを与えているかっこいいシーンだった。そして予告でも流れた「俺は今初めて兄貴を殺したい。」それに対して小牧教官の「殺すなんて聞いたら、柴崎さん何て言うと思う?」「...あんたって、ほんとに馬鹿ね。」最高か。このシーンのためにもう一回観に行きたいくらいだ。映画で堂上と郁がメインになるのは仕方ないというより当たり前のことなのだが、ここできちんと小牧と手塚にも見せ場があったのが本当に嬉しかった。

偽物の幸せで満足な無関心の人々

これも感想で多く見かけたシーンだが、手塚慧が東京の街中を車で走るシーン。映像はゆったりと流れるように、運転する手塚慧と検閲に無関心な街の人々を映しながら、茨城での検閲抗争の様子が音声で聞こえてくる。人々の無関心のせいでこんな世界(メディア良化法の制定された世界)になってしまった、というのはこの作品の重要なメッセージである。映画では手塚慧がそれを伝える役割だった。(ドラマでは郁のセリフにはっきりと出てきていた。)

時が止まったかのような

また手塚慧のシーンとは逆に戦っている図書隊も普通の人間なのだということを描いたシーンが、書棚の影に隠れながら郁と堂上が話すシーンだ。郁は子供の頃この図書館の屋上から花火を見たと話し、堂上は父親のお好み焼きをもう何年も食べていないと話す。戦闘服を着た二人が隠れながら小さな声で話している。抗争はまだ続いているにも関わらず、まるで二人だけを残して時が止まったかのように。とても綺麗な画のシーンだった。原作にはない場面なのにすごく図書館戦争らしいと感じた。(原作にないと書いたが、これは革命の当麻先生警護中に少し似ているかもしれない。原作を知っている人にしか伝わらないが。)

昔、郁が堂上に助けられた本屋で

撃たれた堂上が「もう俺がいなくても...おまえは強い花だ。」と言って郁を送り出すシーン。私は原作でこのシーンを読んだときも泣きそうになったのだが、最初に映画館で観たときに号泣した。映画を観る前に、うるっとくるかな、とは思っていたが、実はこのシーンの前からガンガン泣いていた。(玄田隊長に泣かされた。)でもこのシーンが涙のピークだった。原作のセリフが大好きなので映画ではどうなるのかと期待半分不安半分だったのだが、野木さんの脚本がさすがだった。私が図書館戦争が好きな理由は、原作と全く同じでは意味がない、変わるのが当たり前、という有川さんの言葉に全て詰まっているのだ。高校生の郁が堂上教官に助けられた本屋で、今度は郁が堂上から任せられた任務を遂行するために走り出す。何度でも言う。最高か。

郁がかわいい(二度目)

一人で本を届けられた郁にまた号泣したと思ったら、退院した堂上から逃げる郁はまた、たまらなくかわいい。鈍感郁ちゃんとそれにイライラな堂上教官。ごちそうさまです。そしてここで「命令じゃなくて約束」 を持ってきた脚本にまた感動。「いつにしますか?」と堂上にひょこひょこついていく郁は前作ラストを思い出させた。もう一度言うが、今回、とにかく郁がかわいいのだ。

最後にカミツレデートを思わせるカモミールティーとカミツレの映像で終わるのも上手い。ぜひ、同じキャスト、スタッフで革命も映像化してほしい。続編を観たい人はフォローを、と有川さんがおっしゃっている。時間を見つけてもう一度観に行こうと思う。

 以上、映画「図書館戦争THE LAST MISSION」について語りたいだけ語った。長い。3000字。ここまで読んだ人はいるのか。明日一日で2000字以上のレポートを書く課題を終わらせる予定なのだが、楽勝な気がしてきた。