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「海外から見たジャニーズ」アンケート まとめ

海外に住むジャニヲタに興味を持ったことはありますか?

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大学の授業で、「海外から見たジャニーズ」というテーマのプレゼンをしました。そしてこのプレゼンのために、海外在住のジャニヲタ、海外在住経験のあるジャニヲタ(留学経験者も含む)を対象にアンケートを行いました。アンケートは当ブログと私のツイッターを使って拡散したのですが、フォロワーの多いユーザーさん方にリツイートしていただいたおかげで、554名もの海外ファンの方にご回答いただきました。まさかこんなにも多くの方にご協力いただけるとは思っていなかったので、驚きとともに感動しています。皆さまのご協力に感謝します。

This is the same article written in English.

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アンケート内にて皆さまの回答は授業内でのみ使用すると書いたので、結果を公表する予定はなかったのですが、多くの方から結果が知りたいとのご意見をいただきました。そこで今回、アンケートの概要と私個人の感想としてブログにまとめの記事を書くことにしました。グラフや数字はできる限り使用せず、個人の回答そのものを引用することもないようにしていますが、おおよその結果や多かった意見などをまとめています。もしこの記事が回答した方の目に入り公表しないでほしいという意見をいただきましたら、すぐに対応します。遠慮せずにご連絡ください。

 

テーマ:海外から見たジャニーズ

対象者:海外在住のジャニヲタ、海外在住経験のあるジャニヲタ

回答者:554人(48か国)

言語:質問(日本語・英語)

           回答(英語516人、日本語33人、中国語2人、スペイン語1人)

質問:

Q.1 年代を教えてください。(選択)

Q.2 性別を教えてください。(その他を含む選択)

Q.3 出身国を教えてください。

Q.4 現在暮らしている国を教えてください。

Q.5 一番好きなジャニーズのメンバーを教えてください。

Q.6 一番好きなグループを教えてください。(選択)

Q.7 そのメンバーやグループを好きになったきっかけを教えてください。(この質問は必要と感じ途中で追加しました)

Q.8 あなたの住んでいる国でジャニーズは有名だと思いますか?(選択)

Q.9 Q.8でそう答えた理由を詳しく教えてください。

Q.10 あなたが思う、あなたの住んでいる国で一番人気なジャニーズのメンバーを教えてください。

Q.11 Q.10について、なぜそのメンバーがあなたの住む国で人気なのだと思いますか?そう思う理由を詳しく教えてください。(例えば、出演しているテレビ番組が放送されているなど)

Q.12 あなたが思う、あなたの住んでいる国で一番人気なジャニーズのグループを教えてください。(選択)

Q.13 Q.12について、なぜそのグループがあなたの住む国で人気なのだと思いますか?そう思う理由を詳しく教えてください。

Q.14 どうすればジャニーズがより多くの国で活躍できるようになると思いますか?

Q.15 海外で暮らしているまたは海外出身のジャニーズファンとして、ジャニーズ事務所に求めることを教えてください。

Q.16 ほかに何かコメントがございましたら、ご記入よろしくお願いします。

これらの質問の中からいくつかをピックアップし、アンケートの結果より私の考察と感想を中心にしてまとめました。

まず回答者は20代が最も多く次いで10代、30代と続く、おそらく日本のファンとほとんど変わらない結果でした。ツイッターで拡散したのでツイッターの利用世代から考えて妥当だと思います。出身国は48か国、住んでいる国は46か国と、さまざまな国の方が協力してくださいました。アジア諸国、ヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどはもちろん、サウジアラビアアラブ首長国連邦、ブラジル、ウクライナ、など本当に世界各国からの回答が集まり改めてインターネットの力に驚きました。

好きなメンバーとグループに関しては予想通りの嵐人気で、一番ファンが多かったのも櫻井翔くんなのですが、二番目にファンが多かったのがHey!Say!JUMPの山田涼介くんでした。三番目が大野智くん、四番目が松本潤くん、五番目が二宮和也くん、六番目が相葉雅紀くんと嵐のメンバーが続き、七番目は山下智久くん、とここまでは予想通りでしたが、八番目にファンが多かったのが同数でJUMPの知念侑李くん、有岡大貴くん、伊野尾慧くん。グループで見ても嵐に次いで人気なのはHey!Say!JUMPでした。あくまで私のアンケートの結果ですが、Hey!Say!JUMPの波は世界にも来ているようで驚きです。そしてここでもおそるべし伊野尾くん人気。

また好きなメンバーとグループに関して私の予想外だったのは、関ジャニ∞Kis-my-ft2のファンがあまり多くないことです。日本のジャニヲタにアンケートをとった場合、この2グループは嵐に次いで人気なのではないかと思います。これに関しては、次の質問で理由がわかりました。

ジャニーズを好きになったきっかけは、ほとんどの人が「ドラマ」かインターネット上に違法にアップされた「動画」と回答しています。日本のバラエティ番組が海外で放送されることはほとんどないそうです。つまり、バラエティがきっかけで人気になったエイトやキスマイが海外で人気を獲得するのは難しいというわけです。もちろん言語の壁もありますよね。また、違法とはわかっているけれど他に見る方法がないので動画で番組を見ているという回答もとても多かったです。それが一つのファン獲得のツールになっているわけですから、公式の動画(現在もジャニーズネットにありますが、もっと尺の長いパフォーマンスや番組などの動画)の配信は一番簡単に海外ファンを増やす方法だと言えます。

次は自分の住んでいる国でジャニーズは有名かという質問だったのですが、私の選択肢の作り方があいまいだったせいで、わかりやすい結果にはなりませんでした。しいていえばアジアでは「まあまあ有名」の回答が多く、ヨーロッパや他の地域では「あまり有名ではない」「全く有名ではない」の回答が多いという結果でした。

「有名だ」と思う理由に関しては、「日本の漫画やアニメが好きな人はジャニーズも知っているから」という回答が目立ちました。ジャニーズそのものよりも漫画やアニメが入口になり、これがおそらく「暗殺教室」「金田一少年の事件簿」などを実写化で演じた山田君の人気につながっていると考えられます。「有名でない」と思う理由に関して最も多かった意見は「J-POPよりK-POPのほうが人気だから」というものです。アジアではもちろんヨーロッパでもK-POPのほうが人気なようです。

これに関して私なりに考察した二つの理由は、①売り出し方の違い②完成度に関する文化の違いです。①売り出し方の違いに関して、*1そもそも韓国は日本と比べ国内市場が小さく海外進出は韓国にとって当然の選択です。K-POPは各グループにYouTubeの公式チャンネルがあり、それらやSNSを使って多くの海外ファンを獲得してきました。一方ジャニーズは著作権、肖像権の管理が厳しく、動画や写真が公式にインターネット上にアップされることはありません。海外でK-POPのほうが人気になるのは当然といえるでしょう。

そして私の考えるもう一つの理由が②完成度に関する文化の違いです。K-POPは下積み期間が長いと言われています。韓国にはK-POPアイドルの養成所がたくさんあるそうで、彼らはそこで長い下積みをしているので、デビュー時にはパフォーマンスが完成されています。一方ジャニーズは、グループによってはジャニーズJr.になって数か月のメンバーがデビューすることもあり、さらにジャニーズJr.のレッスン料が無料なことから部活感覚で活動していたと話すメンバーも少なくありません。このような状況から、デビュー時にはまだダンスが全然踊れないメンバーがいることもあります。

しかし、それでも日本では、デビューしたばかりのジャニーズメンバーもしくはジャニーズJr.のファンがたくさんいます。なぜでしょうか。それは、海外の人が「洗練」され「完成」したものを求めるのに対し、日本人が「成長」の「過程」を楽しむことができるからだと考えました。日本には「未完成」「不完全」なものに魅力を感じる文化があります。例えば、どの桜が美しいかと何枚かの写真を見せたとき、日本人は満開の桜よりも咲きかけの桜を美しいと感じるが、海外の人はあたりまえに満開の桜を選ぶという話があります。*2さらに日本は「過程」を重視する文化です。これは部下の仕事に関して過程を重視するかどうかを国で比較したものです。*3

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日本と韓国は真逆にあり、韓国だけでなく過程を重視しない国が多いことがわかります。過程を重視しない=結果を重視することにはなりませんが、日本と海外におけるジャニーズの見られ方の違いを考える上で参考にはなると思います。

どうすればジャニーズがより海外で活躍できるようになるか、という質問に対しては、YouTubeSNSの活用といったメジャーなものから、CDやDVD、その他グッズのネット販売、ジャニーズがもっと英語を話す、などさまざまな意見が寄せられました。一方で、「人気になるのは無理だと思う」「自国に来てほしいと思わない」などの興味深い回答が少数ですがありました。前者は、文化が違い一般の人には受け入れられないだろうから好きな人だけが楽しめばいいという意見、後者は、頑張ってお金をためて日本でのコンサートへ行くのが楽しみであり優越感を感じるので、近くに来てほしいと思わないという意見でした。これらの意見は多くのジャニヲタが感じる「遠い存在」「ステージの上の人」でいて欲しいという気持ちの表れなのではないかと思います。日本のファンにも「握手会やファンミーティングはしょっちゅうしないで欲しい」と考える、近すぎることは求めない人が多くいます。私自身はそちら側の考えであり、SNSも使ってほしいとは思いません。つまり、肖像権が厳しく公式動画やSNSを使用しないジャニーズのやり方は、問題点であると同時に、ジャニーズを「手の届かない人」にすることで魅力的にしているわけです。とは言ってもやはり、動画やSNS は海外ファンにとって貴重な楽しみになるのでしょうから、難しい部分だと感じました。

最後の海外ファンとして事務所に求めることを尋ねた質問に対しては、私は事務所じゃないから私に言われてもどうにもできないよ!と言いたくなるくらい、皆さんとても熱く事務所への要望と不満を語ってくださり、切実な想いが伝わってきました。事務所にこのアンケート結果を届けて欲しいというご意見もたくさんいただきました。その中でも多かったのは「自分の住む国でコンサートをしてほしい」「国際ファンクラブを作ってほしい」という二つの意見でした。先ほど述べた自国に来てほしくないというファンは少数派で、やはり多くのファンは「生で彼らを見てみたい」と願っています。また、日本の住所がないとファンクラブに入会できないシステムは、日本に友達や親戚がいない海外ファンにとってはとても不便です。このことについて、なぜ国際ファンクラブを作るのが難しいのか事務所に問い合わせたのですが、回答は得られませんでした。おそらく郵送の問題などが大きいのでしょうが、もっとメールやインターネットでの連絡・申し込みが中心になれば、国際ファンクラブの開設も可能なのだと思います。

結論はとても単純になりますが、日本で知らない人はいないジャニーズの海外での知名度は非常に低く、海外で活躍するためには多くの改善が必要だということです。しかし、多くの問題がある中でも、ちょっとしたきっかけでジャニーズを好きになってしまった、ジャニーズについてやけに熱く語ってしまう、ジャニーズにはこうあってほしいという理想、など基本的なことに関しては海外ファンと日本のファンに違いはありません。ジャニヲタってみんないつも一生懸命で熱いから好きです。ジャニヲタ精神は世界共通でした。

 

今回このアンケートを実施したことは私にとって多くの収穫がありました。予想以上に多くの方に協力して頂いた上に回答が英語なので、集計がとても大変でしたが、記述で回答する質問ばかりにも関わらず皆さんがとても丁寧に答えていださっていたので、読むのがとても楽しかったです。自由コメント欄にツイッターのアカウントやメールアドレスを書いて下さった方も何人もいて、集計中に何人かに連絡をさせていただき、本当に助かりました。また、「海外ファンに関心を持ってくれてありがとう」「意見を言う機会をくれてありがとう」「アンケート楽しかった」と多くの方からとても嬉しいお言葉をいただきました。まさか逆にお礼を言われるとは思っていなかったので感動してしまいました。さらに私情ですが、私の拙い英語で海外ファンの方々とコミュニケーションがとれたことも嬉しかったです。海外ファンのお友達もできました。

海外ファンの皆さまがもっとジャニーズの応援を楽しめるように、事務所の方針に変化があることを期待しています。アンケートにご協力頂いた皆さま、メールやツイッターで詳しくお話を聞かせてくださった皆さま、そしてアンケートの拡散にご協力頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

*1:style.nikkei.com

*2:桜の話は良い記事が見つからなかったのでこの記事を参考までに。

毎日新聞「『不完全の美』探って」http://mainichi.jp/articles/20151031/ddm/014/070/007000c 

桜については、YouTubeで海外の人が日本人の美意識の違いを話している動画があるようです。

*3:第16回 過程をどの程度重視するか|ビジネス英語|アルク